昨年末に床暖房の工事までを終えた平屋の家@鎌倉市。
その上に設置するフローリングの工事からご紹介しましょう。
前回ご紹介した通り、このフィルム上の床暖房は、ランニングコストを抑えられ、フローリングの下に床暖房を設置するための厚みをつくらずに施工できるので、施工性が高いとご紹介しました。
そんなメリットがある反面、注意しなければいけないこともあります。
この床暖房、ベニヤの上に載っていますが、ベニヤはビスで留まっています。
写真下のコードの横に黒い点が見えると思いますが、これがビスの跡。
このビスの頭が凸のように飛び出たままフローリングを設置してしまうと、圧がかかり、ビスの頭でフィルムを傷めて、断線してしまう可能性があります。
ビスでなくても、やや大きめの木くずなども障害物になる場合があります。
床暖房を設置した後、通電して、断線がないかをチェックしながら進めます。
しかし、フローリングを設置する前は圧迫しないので、断線するケースは稀です。
断線するとすれば、フローリングを設置した後。
フローリングも1つ1つビス留めをします。
フローリングにはオスとメスがあり、オスの凸部分の根元に、斜めにビスを打ち、
メスの凹をはめて、
このように仕上げます。
仕上げた後に断線が見つかると、当然ですがやり直しになります。
ものすごい手戻りが発生してしまうので、慎重に慎重に仕事を進めます。
さて、こちらは何か変わりますか?
そうです、床暖房の中央に据えた掘りごたつのフタ。
無垢のひのきを使います。
写真ではわかりにくいですが、4㎝の厚みというのは1円玉の直径が2㎝ですから、2枚並べたサイズ。
これだけしっかりしていれば、掘りごたつを使わない時期の床として、ご安心いただけると思います。
今回の掘りごたつは、底に熱源が設置されているタイプではないので、掘りごたつを使用している時は内部に格納できるようにしています。
だから収納場所にも困りません。
ただ、ひとつ困ったことが。
4㎝厚のひのきは重いので、フタとしてすっぽりはまってしまうと、開閉に苦労します。
そこで、
このような取っ手を取り付けます。
ご覧のノミで凹を削ります。
同時進行でご紹介している本堂の建築では、日々活躍しているノミですが、住宅建築ではあまりご紹介することはありません。
建材の多くはプレカットされた状態で現場に届くので、カンナやノミを使用する頻度は減っています。
そのような道具を巧みに扱える熟練の大工さんはとても貴重です。
さてこちらは床の間。
床板はケヤキを使っています。
その床板を挟むように柱があります。
工事がっもう少し進むと、
壁の下地、石膏ボードが取り付けられました。
が、ポイントはそこではありません。
前の写真と変わった部分があるのですが、どこが変わったかおわかりになりますでしょうか?
正解は、柱が太くなったんです。
と言っても、柱を交換したわけではなく、もともとあった柱に、付け柱という幅広の板を取り付けたのです。
付け柱とは、構造上の強度がある柱ではなく、装飾を目的とした、見せるための柱です。
2階のない平屋ですから、必要な強度はそれほど大きくなく、柱も前の写真程の太さがあれば十分です。
でも、柱の見える真壁工法なら、柱は太く見せたほうがいい、という時に付け柱を使います。
引いててみるとこんな感じ。
いかがでしょう?ドーンと、立派に見えますよね。
人は見た目が9割なんていう本がありましたが、室内も同様。
こだわりがなければ柱の見えない大壁工法でいいかもしれませんが、趣のある真壁工法を採用するなら細かい部分にも配慮したいものです。
ということで今回は、柱の太さだけでなく、木目にもこだわっています。
遠目で分かりにくいと思いますが、この付け柱は木目に変化の見られる板目材を使っています。
先ほどご紹介した掘りごたつのフタも同じ板目を使っているので、もう一度。
板目材とは、丸太を上から平行にカットして切り出した建材です。
イメージはこんな感じ。
このように切っていくと、ところどころ年輪の曲線が現れる、前出の掘りごたつのフタのよう切り口になります。
先に見た付け柱は、そのような木目の自然の美しさがあった方がいいので、板目材を使っています。
一方で天井は、
全面が木目となるので、あまり主張しない直線が美しい木目の方がいい。
この板が柾目です。
柾目はこんな感じでカットされます。
実際とは異なりますが、要は中央から半径の方向にカットすれば、直線の木目の板が得られます。
ちなみにコスト的には、ご想像のとおり、板目<柾目となります。
長く暮らすお住まいですので、天井や柱など、細かな部分も吟味して選ぶと、住んでからの愛着が一段と増すのではないか、と思います。
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