前回、1階のコンクリート打設工事を終え、2階の配筋工事がスタートしたところまでご紹介したRCの家@逗子。
その続きからご紹介しましょう。
左上、ハシゴのような形状は、ルーバーとなる配筋と型枠です。完成するとこんな感じ。
そのもの自体の造形はもちろん、ルーバーがつくる光と影、時間帯によって変化する表情、植栽などの緑との相性も良いので、その周囲を含めた意匠性を高めます。
見た目のかっこよさだけでなく、強い日差しを遮り、目隠しの役目も果たします。
RC住宅の屋根は、多くの場合陸屋根と言われる、フラットな形状が多いです。
今回のお住まいも、ほとんどの屋根は陸屋根なのですが、この一部分のみ、こう配屋根にして、窓を設け、光を採りこみます。
こう配屋根の左から右、高いほうから低い方へ、棟木のような木材が掛けられてありますが、これは構造材ではなく型枠を支える一時的なものです。
ご存じのとおり、生のコンクリートは個体と液体を混ぜたスラリーと呼ばれる泥状の流動体です。
これくらいの勾配があると、その流動体を安定させるのはなかなか難しいことをご想像いただけるのではないかと思います。
淡々と進められているように見えるコンクリート住宅ですが、このような職人技を必要とする工事が随所に隠されています。
こちらは、屋根のほとんどを占める陸屋根部分です。先ほど、「フラットな形状」と説明しましたが、厳密にはフラットではありません。
もしフラットだったとしたら、雨が降ったときにうまく排水ができません。
水が溜まらないように、水の流れをコントロールすべく、微妙に勾配をつけています。
雨が降った場合、白矢印のように雨水が流れるように、まず、中央手前側から奥に向けて下っていて、さらに中央の凹部分から左右の奥に向けて勾配をつけています。
左右の奥に排水口があり、そこから排水されるわけです。
「そんな微妙な勾配を目視で打設できるの?」
と疑問に思った方は素晴らしい。
目視ではできません。
1枚前の矢印を描きいれた画像、よく見ると、型枠に緑と白のポイントが見えたと思います。
緑はインサートと言って、内装工事を行う際のフックになるモノ。白く見えたのが、+7と養生テープに書いてあったモノ=モドルポイントと言います。
寄ってみましょう。
このモドルポイントに書かれた「+7」が、基準に対して、+7mm高い位置ですよ、と教えてくれています。
最終的に配筋が組まれ、生コンを打設する前の状態がこちら。
黄色い浮きの目印のようなものが、小さく見えますでしょうか?
寄ってみましょう
黄色いひもの様なものが出ていますが、それは最終的にカットされます。その下の黄色の一番上の平面部分が、+7mmというように、適切な高さに設定されています。
コンクリート打設工事の仕上げの際に、この黄色い部分まで埋まるように均してあげれば、最後には勾配のついた天井が出来上がるというわけです。
というわけで、打設が始まりました。
太いパイプから生コンが噴出しています。
両サイドの細い管は空気が入り込まないように、滑らかに打設するためのバイブレーターです。
この均しの作業の中で、生コンの高さを微妙に調整しているわけです。
黄色い部分は生コンの中に埋まり、ひものようなアンテナと言われる部分はカットされているので、跡形もありません。ちなみに、モドルポイントを支えていた釘は、室内側の型枠を撤去する際に一緒に外れます。
ゆえに、室内側に釘は残らず、サビが発生する心配もないというわけです。
コンクリート打設工事が無事に終了しました。見た目にはわかりませんが、雨水の流れをコントロールする勾配がしっかりとついています。
見た目でもわかるこう配屋根の打設工事も無事に終了しました。
これで、コンクリートの打設工事=躯体は終了しました。
これより、内外装の工事に入ります。
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