一昨日の横浜市、最高気温31℃で真夏日となりました。
向こう1週間の予報でも、真夏日となる日が半数以上。
いよいよ暑い夏の到来です。
先月中旬のブログで、来年の4月に、建物の構造に関する審査を省略することが認められていた「4号特例」が見直される記事をご紹介しました。
今回は、この4号特例を見直すきっかけの一つとなった、建築物省エネ法の改正についてご紹介したいと思います。
まずは、そもそもここで定義する省エネ住宅とはなにか?から確認しておきます。
省エネ住宅の定義は、大きく2つに分かれ、3点あります。
1つは、住宅の中と外の熱の出入りが少ない家であること。
もうひとつは、エネルギー使用量の少ない設備機器を使っているということ。
上の図をご覧いただくと、
①は、夏、西日などで家の中に入ってくる熱量が多いと、エアコンの負荷が増えます。
日射量を防ぐ対応がなされ、一定量以下に抑えられているかどうかをチェックします。
②は、主に冬、室内の暖気を外に逃がさないように、高い断熱性が保たれているか?
どんどん暖気が逃げるようでは、とても省エネ住宅とは言えません。
この①と②で、住宅そのものが、外気に影響されにくい家であるかどうかが問われます。
その上で、③の、生活に欠かせない給湯器や照明、エアコンなどの設備機器に、省エネ基準をクリアしたものを使うこと、が求められます。
①と②の項目を、外皮性能と言い、③を一次エネルギー消費量と呼んで、省エネ基準で守らなければならない基準として定義されています。
この基準がクリアされているかどうかは、数値で表す必要があり、①と②の単位はそれぞれ、
①ηAC値(イータエーシー値)
②UA値(ユーエー値)
と言います。
③の一次エネルギー消費量は、基準となる省エネ基準から、何パーセント削減されているか?という削減比率を決め、それをクリアすることが求められます。
これらの基準は、北海道と九州で同じはずはなく、地域ごとに求められる数値が細かく定められています。
以上が省エネ住宅の基準です。
これは以前から定義されていたものでした。
これが、建築物省エネ法の改正によってどう変わるのか?というのが問題になりますが、ポイントは3つあります。
1つ目は、この基準が義務化されるということ。
これまでは、基準はあるものの、この基準に必ずしも則っていなければならないというわけではありませんでした。
この基準が義務化されます。
これまでは、家を建てる際、建築確認申請を行えば、家を建てることができましたが、今後は省エネ基準に適合していないと、確認申請が受領されませんし、上記資料によると、申請時だけでなく、建物が完成した後の完了検査時にも、適合しているかどうかの検査が行われます。
最後は時期の問題。
再来年の4月から施行されることが決まりました。
上記の資料によると「施行日以後、工事に着手する建築物が対象」となることから、実質的にはあと1年半ほどの猶予期間しかないと思われます。
実は、この建築物省エネ法、4年前にも改正され、2年前にその改正内容が施行されたばかりです。
この時の変更内容は、赤線部分「建築士から建築主への省エネ性能に関する説明が義務付けられます」という内容です。
実は、今回改正された「省エネ基準の義務化」は、以前からずっと議論されていて、2020年に施行される予定でした。
業界を挙げて、準備を進め、当社もその変更に対応すべく、講習会に参加したりしていました。
しかし、様々な反対意見に押され、急遽、義務化は取りやめとなり、説明義務を課すに留まりました。
この法改正が公布され、施行される前年の2020年、当時の菅総理が、2050年のカーボンニュートラルを目標に掲げました。
建物から出る二酸化炭素は全体の3割強、しかも今も増え続けています。
そんな状況を野放しにしておくわけにもいかず、
今回の法改正となりました。
先にも説明した通り、今回の法改正に合わせて、建物の構造に関する審査の省略特例=4号特例も見直されます。
あるべき姿に向かっている、とはいえ、移行期間はかなり混乱することが予想されます。
しっかりとウォッチしていきたいと思います。
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