昨年10月にテレビ神奈川のカナフルTVで、本堂の建築を担当していただいている内田工務店さんが登場された模様をご紹介いたしました。
今度は、天下の公共放送、NHKの解体キングダムで2/12(月)に紹介されていました。
タイトル通り、解体をテーマにした番組でしたが、CMなしで1時間15分、見ごたえがありました。
海に近いため釘などボロボロ、場所によってはシロアリにも食われ、一つ間違えば簡単に壊れてしまいます。
320年前に建立された国の重要文化財、光明寺の大殿を、棟梁の山本さんが要所要所で培われた経験と勘を発揮し、解体していく様はお見事でした。
ご興味のある方は、NHK+でご覧ください。配信期限は2/19の夕方までです。
さて、本題に。こちらは本堂の新築です。
本堂らしさを最もあらわす部分のひとつである屋根工事がスタートしました。
右手が正面、その正面の屋根を支える垂木を設置しています。
こちらが正面から見たところ。
住宅の取り付け方とは少々異なるのですが、お解りになりますでしょうか?
こちらが住宅の垂木。
わかりやすい違いは、住宅の屋根は棟から軒先まで直線に伸びていますが、本堂の垂木は反りがあります。
並べてみましょう。
もう一つの違いは、垂木の置き方。
通常、住宅の垂木は長辺を立てます。
垂木はこの上に載る野地板を設置する際の下地にもなるし、重量のある屋根を支えるので、厚みがあった方がいい。
だから縦に置くのですが、本堂の垂木は、湾曲させるため、横におきます。
一方で、サイズは本堂の方が大きく、厚みも十分にあります。
当然のことながら、横においても厚みが足らないということはありません。
さて、この後、野地板を設置して、上棟式が行われました。
ダンドリ上、他の作業を優先する必要があったため、裏側の野地板の設置はこの後に行います。
棟の上、紅白の棒に取り付けられた飾り物、気になりますね。
寄ってみましょう。
左側の飾り物は鶴、右側は亀です。
鶴は矢を空から地に放ち、亀は地から空に放つ。
魔除けを目的に飾られるもので、破魔矢と呼ばれています。
さて、上棟式も終わり、野地板の上に防水シートが敷かれます。
木造の建物にとって、雨水は天敵。
このあたりは、文明の利器を活用します。
防水シートの設置がほぼ完了すると、下から銅板の屋根材を設置していきます。
下から重ね張りしていくことで、雨が降ったときに内部に浸み込むことなく、軒先の樋まで行き着きます。
この段階で大きく空いている、三角のきつね格子の左側、気になりますね。
屋根が跳ね上がっている隅の側面=破風にもきらびやかな銅板が設置されました。
住宅の場合は、破風板と呼ばれる木材が使われますが、雨水による傷みが激しくなりがちな部分です。
さて、いよいよ気になっていたきつね格子と屋根の際部分に着手します。
見た目にもわかるように木材なのに丸みを帯びて、木船の底のように滑らかな面になっています。
どのように塞いでいくかというと、
1本1本、細い木材を並べて塞いでいくんですね。
その下に見える破風も垂直ではなく斜めに設置されていて、鋭角を形作っています。
最終的には、
カンナをかけて滑らかな曲面を築き上げました。
う〜ん、防水シートで覆ってしまうのはもったいない、と思うのは私だけではないはず。
何気なく屋根を形作る微妙な曲面が、こんなに手の込んだ工事で作られているとはなかなか気付かれませんね。
さすが寺社建築は、320年前に建てられた大殿を、10年かけて解体、修復するだけの価値があるんだなと感じました。
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