先月20日に初めてご紹介した、土砂災害特別警戒区域=レッドゾーンに建てる地下車庫のある家@大磯町。
いよいよ工事が始まります。
大磯町といえば、明治以降、著名人の自宅や別荘が多数建てられた人気の土地。
それもそのはず、冬でも比較的温暖な気候で、丘陵地ゆえに海が見える土地も多く、自然に恵まれ、都心からも1時間ちょっとで行けるちょうど良い距離感。
100年前の関東大震災での被害は避けられず、多くの建物が倒壊したという記録が残りますが、今回の建築予定地は地盤が固く、当時に比べ建物の耐震性が段違いに上がっている上、構造は鉄筋コンクリート造。
高台に位置するので、建物からは海を望め、津波の心配もありません。
そんな魅力に溢れた大磯町での家づくり。
唯一のネックは、背面に迫る丘陵です。
既にご紹介している通り、土砂災害警戒区域=イエローゾーンに指定された中で、
「急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域」
に指定された、土砂災害特別警戒区域=レッドゾーンに位置しています。
では、早速、現地の模様と、工事の状況をご紹介してまいりましょう。
間知ブロックが積まれ、外階段と門扉が残ります。
解体を終えた古家もRC造でしたが、土砂災害基本法が制定されたのは、今から24年前ですので、建築当時は厳しい規制もなかったことと思われます。
背面に見える間知ブロックと丘陵部分、仰ぎ見るとこの通り。
これだけ木が生い茂っている丘陵地で、土砂災害が起こる可能性があるというのは、にわかには信じ難いところではありますが、昨今の想像を超える豪雨などを思い起こすと、警戒せずにはいられません。
たとえこの地域で土砂災害が発生したとしても「住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずる」ことがないように、決められた数々の規制をクリアした住宅を建築します。
まずは、地下車庫を造るため、擁壁を解体していきます。
敷地内に作業スペースを確保して、さらに根伐りを進めます。
この段階では、赤茶色をした土ですが、
掘り進めると、いかにも固そうな地盤であることがお分かりいただけると思います。
さらに、玉石も多くありました。
固い地盤は、地盤改良をする必要がないという大きなメリットがありますが、根伐りが大変だったり、このような玉石は細かく砕くのも難しく、通常と同じように処分することができません。
なにごとも、良い面があれば悪い面もあります。
というわけで、ようやく根伐りが終了、下準備を整え、捨てコンを打設し、墨出しを行い、配筋作業に入ります。
こんな感じ。
当社の建築工程をよくご覧いただいている方は、いつもとちょっと違うことにお気づきかもしれません。
何が違うのか?
基礎配筋を行っている別の現場の写真を確認してみるとこの通り。
基礎配筋中
まだわかりにくいかもしれませんので、道路からの同じアングルからの画像をご紹介しましょう。
これでおわかりいただけると思います。
そう、H鋼と矢板で造られる山留がないのです。
配筋奥の正面、根伐りを終えたそのままの状態になっています。
今回の根伐りは、道路から高低差のある1階までの約2.2mに加え、基礎配筋の下端まで、4m弱掘り進んでいますが、地盤が固いので山留を造る必要がありませんでした。
通常であれば、事前にH鋼を打ち込んでから、根伐りを始めるのですが、今回はその工程も省くことができた、というわけです。
基礎配筋が完成しました。
向かって右が道路側、左が山側です。
万が一、土砂崩れが発生したときに、それを受け止める山側の壁厚は、通常の1.5倍ほどの30㎝厚。
A4サイズの長辺ほどの厚みの壁で支えます。
その土台となる基礎の梁は55㎝、これは新聞紙の縦の長さくらい。
それだけ堅牢な構造にして、土砂崩れが起きても流されないようにしています。
さらに、土砂が建物内部に浸入しないように、山側の壁の低い位置に窓は設置しません。
レッドゾーンでの建築は、このような規制が多数あり、それをクリアする必要があります。
先にご紹介した通り、この法律ができたのは、2001年。
土砂災害警戒区域が指定されたのはそれ以降で、横浜市内で指定が終わったのは、令和3年度とのこと。(指定区域はその後も更新されていきます。)
横浜市だけでも、2000を超す地域がレッドゾーンに指定されています。
なんのご縁か、その中で最も多いのは、当社が拠点とする戸塚区。(2番目に多いのは港北区)
ご自宅が指定されていたとしても、ご存じない方がいらっしゃると思います。
神奈川県土砂災害ポータルサイトで、お住まいの地域が指定されているかどうかを確認することができます。
「土砂災害のおそれのある区域」ボタンを押し、検索区域の選択から場所を指定すると、黄色と赤で表示されます。
気になる方は、一度、覗いてみてください。
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