1か月ほど前にご紹介しておりました、横浜市泉区で建築中の賃貸併用住宅の続報です。
前回は上棟までの状態をご紹介しておりました。
建物内部の様子、正面中央、壁と屋根の隙間から光が見えています。
真夏の強い日差しにさらされた屋根の温度は、50~70℃くらいまで上がるといわれています。
その熱を外にはき出すために、この隙間から空気を取り込み、屋根の棟から放出します。
こちらが前回ご紹介した、上棟時の屋根の模様。
真ん中に穴があいていて、熱せられた屋内の空気が抜けるようになっています。
屋根を葺き終わると、このように空気を抜きつつ、雨水が入り込まないように複雑な形状をした棟カバーで覆われます。
屋根の内側には熱せられた空気の通り道を確保すべく、
垂木と垂木の間に通気スペーサーを設置します。
アクエアーシルバーという名称の通り、この裏側はアルミコーティングされていて、遮熱効果を高めています。
夏場は通気層内部に高温の空気が通ることになりますので、
断熱材を施工します。
当社で採用している硬質ウレタンフォームで吹き付ける断熱材は、コンセントや窓など、凹凸のある手作業では施工が難しいところにも、自発的に発砲してすき間を埋めてくれるので、高い断熱性を発揮します。
天井も断熱工事を終えていますが、内部には先ほどご紹介した通気スペーサーがあり、中を通る空気の熱を遮断します。
夏・冬の外気をシャッタアウトするには、断熱性を高めることがとても大切ですが、もう一つ大事なこと、
気密性を高めることです。
すき間なく断熱材を充填しても、空気の行き来をシャットアウトするところまでは至りません。
断熱材+気密シートを施工することで、高い気密性と断熱性を実現することができます。
その機能に加え、気密シートは、室内の水蒸気を壁の内部に侵入させないという役割も発揮します。
気密シートがないと、室内の空気が外気で冷やされた壁の内部で結露してしまう恐れがあります。
気密シートがあれば、水蒸気が壁の内部に入り込むことがなくなるというわけです。
こちらは2階に設置する洗い場と浴槽が一体になったユニットバスです。
洗い場と浴槽に切れ目がないということは、その切れ目から水が漏れる心配がありません。
防水性が非常に高いことから、2階に据える浴室に適しています。
こんなに大きい形状ですが、
この入り口から収めることができました。
入り口前の脱衣所部分に配管が収まっていますが、二重床になっているのは配管が通る部分のみ。
2階を賃貸住宅にする今回の家づくりでは、2階から1階へ伝わる音の制御が、解決すべき一つの課題となります。
通常の住宅ですと、構造用合板の上にフローリングを設置して完了するのですが、今回は以下の手はずで床を仕上げました。
構造用合板の上に、吉野石膏のタイガースーパーハードという通常の石膏ボードに比べ約2倍の比重がある部材を2枚重ねます。
このタイガースーパーハードは病院や学校の間仕切りや廊下に使われることを想定しています。
さらに、この構造用合板とスーパーハードを重ねる際に、サウンドカットという接着剤を使います。
これは、人が歩いたり、物が落ちたりすると、床材同士がぶつかる音が発生しますが、固まった後も弾力性を保って衝撃を和らげるという特性を持っています。
上階の音をまったく気にしないようにすることはできないと思いますが、これでかなり抑えることができるのではないかと思います。
スーパーハードを二枚敷いた後、フローリング材で仕上げています。
今回の2階、賃貸住宅は3部屋設けることになりますので、お隣様同士の音にも配慮します。
こちらのダイケン遮音シートを、石膏ボードの間に挟み、お隣様同士のプライバシーを守ります。
石膏ボードが見えているところが、天井裏部分です。
通常の一軒家の場合は、2つの部屋の天井裏は仕切りを設けないのが一般的ですが、賃貸住宅の場合は界壁といって、耐火性能や遮音性能を高める必要性から天井裏部分も壁で区切る必要があります。
こちらは1階部分。
お施主様がお住まいになられるスペースです。
冬に活躍する床暖房を設置しました。
ちなみに、賃貸住宅部分には設置しません。
賃貸住宅部分に付加価値の高い住宅設備を備えると、その分だけ家賃も上げなければならなくなります。
「床暖房は使わない」という方に借りていただくことになると、無駄になってしまいます。
なので、一般的に賃貸住宅は必要最低限の設備のみ設置して、あとは住まわれる方のお好みで、必要なものを備えていただくのが合理的な判断となります。
外まわりの工事も始まっています。
屋根と同じように、外壁の内部にも通気層を設けます。
こちらの役割は、主に壁内部に入り込む湿気を飛ばすこと。
湿気の逃げ場がないと、いつか結露して、その水分が抜けず、家を傷める可能性があります。
外壁内部に通気胴縁で設けた通気層の中を空気が通るようにして、湿気を飛ばします。
外壁材は旭化成建材のパワーボード。
耐久性、防火性、遮音性、断熱性に優れた外壁材です。
マットな感じの黒系の塗料で仕上げました。
バルコニーにはこの後、笠木でカバーしますが、内部をよく見ていただくと、
腰壁の内部にも通気胴縁が仕込んであります。
木造住宅では、住宅の寿命を縮める最大の敵が雨漏りですが、この雨漏り、このバルコニーから発生するケースも少なくありません。
雨漏りは複雑な形状になればなるほど発生しやすいので要注意なのです。
ちなみに、この後腰壁を覆う笠木も、先に見た棟カバーのように、雨水の侵入を防ぎつつ、通気性が確保できるような仕組みになっています。
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