ちょうど1年前の3月9日に「新しいプロジェクトの始まり」として、ご紹介したグループホーム建設工事@川崎市宮前区。
ついに完成しました。
正面玄関
既に、建築実例にて、建物内部についてはご紹介しておりますので、今回のブログでは、着工当時からの模様を振り返りたいと思います。
まずは、立地の詳細を把握していただくために、完成した建物の東側からのお写真をご紹介しましょう。
側面から
正面から見ると平屋建てに見えますが、南傾斜に沿った3層の建物です。
建築計画上の1階は、階段下に見えるRC造のガラス戸から入る2層目。
木造の3層目は2階、一番下の階が地下1階という扱いです。
道路側や側面から見ると、あまり規模感が伝わりませんが、
下から
南側から見ると、その大きさがお分かりいただけると思います。
着工前、古い建物を解体したときの写真がこちら。
解体後
かなりの急傾斜であることがお分かりいただけると思います。
さらに、青空を左から右に横切る高圧線が3本見えます。
横から
南側が抜けていて素晴らしい眺望。
グループホームの立地としては申し分ありませんが、遠くに見える鉄塔から伸びる高圧線と、急傾斜という条件が工事の難易度を上げました。
山留スタート
まずは、通常の地下工事と同じく、根伐りを行い山留を造るための工事から始めます。
高さ6mの擁壁を造るために必要なH鋼の長さは14m。
5階建てのビルほどの長さになります。
そのH鋼を挿入するために、オーガー(掘削ドリル)で穴を空けて、それからH鋼を挿入するわけですが、上空には高圧線。
必要な離隔距離をとらなければなりません。
つなぎ
というわけで、穴を空ける作業も、H鋼を埋め込む作業も、オーガーやH鋼を3本に分けて、地中に埋めながらつなぐ作業を繰り返して山留を完成させました。
山留完了
山留が完成し、次は建物を支える鋼管杭工事が始まります。
重量のある建物を支えるために、15mの杭を地中に打ち込み、支持地盤まで到達させます。
ここで立ちはだかった壁は、現場が急傾斜であること。
本来、地下の床面はもっと下です。
しかし、これ以上、根伐りを進めてしまうとさらに傾斜がきつくなり、重機が入れなくなってしまいます。
まずは、安全に入れるレベルまでの高さまで掘って、鋼管杭工事を終えた後、二次根伐りを行って、本来の地下の床面まで掘り下げる工事を行います。
杭工事
二本見える黒い柱の右側が鋼管杭です。
上から回転させながら埋め込みます。
溶接
H鋼と同じように、1本目を打ち込んだら、溶接してつなぎ、2本目、3本目と同じ工程を繰り返します。
15m
ご想像の通り、数字が長さを表します。
14と書いてある数字の上あたりに赤い器具が見えるのは水平器。
まっすぐに入っているかをチェックしています。
この鋼管杭、実際に建物を支えるときには、フーチング(足の裏という意味)を造って面で支えます。
イメージはこんな感じ。
略図
工事を行っていた当時、能登地震でコンクリート造のビルが倒壊してしまった事故がNHK特集などでも取り上げられていました。
そのビルの建築時期は、旧耐震基準のころで、杭は建物の重量を支えてはいたものの、フーチングとの接続が甘かったのではないか?という指摘が日経アーキテクチュアで紹介されていました。
日経アーキテクチャーの記事
杭の跡は見られますが、ガッチリと接続しているようには見えません。
ちなみに今回の鋼管杭とフーチングの接続部分の配筋はこちら。
フーチング
杭頭補強筋という太い鉄筋を鋼管杭に溶接して、その周囲に配筋を行っています。
杭の内部、約1mほど下の部分には受け皿を用意して、そこまでコンクリートを打設して一体化するようになっています。
とても抜けてしまうとは想像できない頑丈さです。
配筋工事
フーチングの配筋を終えた後、基礎、地下1階、1階と3回に分けて配筋と、
コンクリート打設
コンクリートの打設工事を終え、さらに2階木造部分の工事を行い、
完成
完成まで漕ぎつけました。
高圧線と急傾斜という、上空と足下の障害を乗り越え、無事に完成できたことが何よりです。
完成した建物からは、気持ちの良い眺望が望め、快適に暮らしていただけるのではないかと思います。
地域交流スペース
詳細はこちらからご覧ください。ケアタス菅生 建築実例へリンク
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