前回、上棟までをご紹介しておりました、地下室地下車庫のある家@横浜市港北区。
今回はこちらから。
横浜市内の鉄骨屋さんにお願いして階段の躯体を造っていただいています。
こちらはその工場。
床に線や文字が書かれているのが見えますが、建築の際の墨出しのように、床部分に原寸大のサイズをかき出して製作するのだそうです。
こちらが収まるのが、
地下の玄関から1階に上がる階段室です。
高低差は4mほどあります。
階段を設置する前に断熱材を施工します。
正面に1本、上部に2本、H鋼が渡されました。
鉄製の階段を引き上げて、下側のH鋼に載せ、固定します。
さらに、その高さから折り返し用の階段を固定すると、
このように階段が設置されました。
上部に2本のH鋼がありましたね。
もう1本の手前側のH鋼は、1階から2階へ上がる際の踊場の床を支えます。
続きましてバルコニー。
バルコニーは屋根がかかっていても雨が吹き込む危険な場所。
バルコニーの床と室内を仕切る立ち上がりは120㎜以上の高さを確保することがきめられています。
家づくりにおいて、最も気を使わなければいけない重要なことの一つが雨仕舞です。
バルコニー面にプールやヨットなどにも使われる強力なFRP防水を施工しました。
床面はもちろんですが、ポイントはサッシが載る立ち上がりの上にもしっかり防水を行っていること。
サッシとのつながり部分はシーリングで仕上げますが、台風などの際には思わぬところから水が吹き込まないとも限りません。
この立ち上がり部分に、防水をしなければいけないきまりはないのですが、高さを確保しつつ防水を行っているとより安心なのです。
さて、木造部分も躯体が仕上がってまいりましたので、次は断熱材です。
こちらは2階の天井。
屋根・壁にこもった熱や湿気の通り道を確保する通気スペーサーを設置します。
アクアエアーシルバーという名がついている通り、反対側はアルミでコートされ、遮熱効果が期待できます。
メーカーホームページによると、この通気スペーサーがあるかないかで、7℃も違うそうです。
通気スペーサーの上から現場発泡の断熱材、アクアフォームを施工します。
断熱材の施工を終えると、気密シートで覆って、石膏ボードでフタをします。
まれに、「ビニールで部屋を覆うなんて息苦しくならないの?」
とおっしゃる方がいますが、今の法律では室内の空気が2時間に1回入れ替わるように24時間換気の設置が義務付けられていますので、心配はいりません。
かえって家の気密性が低いと計画的な換気が行われず、空気が滞る部分が発生し、結露の原因にもなります。
天井が仕上がりました。
こちらは外壁材が貼られる前の壁面です。
細い板は、通気胴縁と言われる、外壁材とTORAYと書いてある透湿防水シートの間に空気の通り道=通気層を確保するための部材です。
では、中央あたりに板が3枚ほど並んでいる部分は何でしょう?
このように夏の日差しを遮るためのタープをはるときのフックを設置するのですが、その下地です。
LIXILさんなどの設備メーカーから、エクステリア商材としてオーニングなどの商品が出ていますが、タープなら壊れる心配がないし、破けたら買い替えればいい。
取り付けられるフックだけ付けておくのが、シンプルでよいですね。
さて、外壁が仕上がりまして、通気胴縁を取り付けた外壁内部、通気スペーサーを設置した屋根裏を通って、熱や湿気を吐き出す通気口がこちら。
屋根と壁の付け根に排気口があるのがお判りいただけると思います。
「ん?屋根がないところはどうやって排出するの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるはず。
こちら、屋根がない壁の外壁を取り付ける前の写真。
他の壁と同じように、通気胴縁はしっかり施工されています。
でもこのまま笠木を被せてしまったら、空気の逃げ場がなくなりそうですよね?
この写真、外壁を施工後、笠木を取りつける前の写真です。
この白い緩衝材の下の黒い部分を笠木換気材といい、排気口がついています。
この写真では、残念ながらその穴が見えませんが。
笠木はこのように外壁の立ち上がり部分(パラペットと言います)に固定金具を設置して、笠木の内側に仕込んだジョイント部分と合体させます。
建物正面、左側の窓上あたりが、この笠木を被せたパラペット部分です。
こう見ると、ほんの一部分ですが、このパラペットの笠木内部も、排気口がないと湿気が溜まりやすく、家を腐らせる原因になります。
日本の住宅は、欧米に比べ短命だとよく言われますが、一つ一つ見ていくと高温多湿な気候の中で、失敗を次に生かす改善がなされているとも思います。
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