建築ブログ

11.09 | 未分類

地窓の効用

家を建てることが決まると、まず頭に浮かぶのは、「どんな間取りにしようか？」ということではないでしょうか？

いまの暮らしを頭に思い浮かべながら、「この土地に家を建てるなら、どんなプランになるんだろう？」と思いめぐらせるのはとても楽しいし、イメージしやすいですよね。

一方で、平面的な間取りに比べ、立体的に考えなければならない窓の位置は、イメージしにくいと思います。

窓といえば、掃き出しの窓や腰高窓、高窓（ハイサイドライト）、スリット窓などが一般的ですが、今回は地窓の効用をご紹介したいと思います。

和室の地窓

こちらは大和市で新築した際、和室に採用した事例です。

地窓を採用する利点を挙げると、

・押し入れなどの収納を確保した上で、窓を確保できる。

・熱がこもりやすい季節は、地窓から冷たい空気を採り入れ、部屋の中で温度が上がった空気を対面の高窓から外へ出せば、効率よく換気できる。

・地面に反射した、やわらかい光を取り入れることができる

などが挙げられます。

この事例では、プライバシーの観点からすりガラスを使っていますが、

掘炬燵と地窓

このように、掘りごたつの正面に地窓を設け、お庭の景観を楽しめるというのも大きな魅力です。

この事例の場合、この位置に掃き出し窓や腰高窓を設けると、どうしてもお隣様の視線が気になり、プライバシーの確保が難しい状況でした。

そこで、地窓と高窓を設け、お庭を眺めつつ、高窓から光を採りこみ、青空と雲の流れを楽しめるように設置しました。

夜はこのようにシェードを閉じます。

和室以外で地窓を設けるケースが多いのは、玄関ホールです。

玄関ホールの地窓

玄関から奥の壁まで距離がある場合、正面に地窓が見えるので、自然な光を採りこみつつ、ヌケ感が出て、とても効果的です。

もしも地窓がなかったら・・・

想像してみてください。

大きな絵など、飾りたいものがあれば、それはそれで魅力的ですが、何もないとするとちょっと寂しいし、せっかくの空間がもったいない気がしますよね。

そう考えると心配になるのは、当社の得意とする『地下室地下車庫のある家』。

地下車庫と玄関が並ぶプランですと、玄関は地下になるので、地窓をつくることができません。

写真で確認してみましょう。

地下室地下車庫のある家＠横浜市港北区

いかがでしょう？

思ったより圧迫感がないと思われるのではないでしょうか？

多くの場合ガレージと直接行き来できるドアは、クリアなガラスドアを採用しているので、視線が抜けるのです。

このガラスドアがないと、

カット

とっても広いのに、地下然としてしまいます。

玄関が1階の場合は、窓を設ければ採光、通風共に採れますが、安易につけてしまうと無粋です。

地窓があれば

地窓であれば、ヌケ感とともに四季の移ろいを感じることができます。

寄り

新築時の植栽が、ゆっくりと育っていく姿を見ると、時の流れを実感できます。

今回は地窓の良い面をご紹介しましたが、モノゴトにはすべて表と裏がありますので、採用する際にはマイナス面も考慮して判断する必要があります。

そのあたりもモレのないようにしっかりとご提案したいと考えております。